3月15日、4月講義「エフェクチュエーション」をご担当頂きます吉田満梨先生を招きまして、YouTube LIVE「ない市場の作り方」を実施致しました。
同放送はこれまでの当チャンネルのLIVE同時接続数の記録を上回り、過去最高となりました。改めて、エフェクチュエーションへの注目の高さや、吉田先生のお人柄・講義へのファンの多さを感じる次第です。
講演内容もたいへんに面白く、多くのヒントに満ち溢れたものだったのではないでしょうか。神回、とのチャットが飛び交ったのも納得です!
そんな吉田先生のYouTube LIVEは今後も当チャンネルで公開配信され続けておりますので、90分の大ボリュームで、吉田満梨先生が語る「ない市場の作り方」、少しずつでもご視聴いただけたら嬉しく思います!
私として印象的だった点を3つほどご紹介します!
★市場が生まれる3つのパターン。
客観的対象、主観的解釈、間主観的基礎の3つが揃った状態が、その製品・サービスの市場が「有る」状態である。平たく言えば、事実としてそこに製品・サービスが存在しており、主観としてそれが価値を持ちうること企業家が認識しており、間主観的:人々の主観的共通理解として、その価値が認識されている時に、市場は「有る」ことができる。
●企業家が市場を認識し、顧客もそこに市場性があることを認識しており、しかし実体としての製品・サービス自体がまだそこに存在していないとき。
いわゆるマーケティングリサーチで市場性を確認し、そこにプロダクトを当てていくという、標準的な製品開発パターンがこれにあたる。
だけども、それ以外の2パターンもある。
●製品・サービスは存在していて、企業家はそれが価値があるものだと理解しているが、顧客(社会)が気がついていない。
社会に対する働きかけ(センスメーキング/イナクトメント)から、価値の存在を伝えていく。
●製品・サービスは存在していて、顧客もそれが価値があるものだと理解しているが、企業家が認識していない状態。
一見すると奇妙なようだが、これもあり得る。「ユーザー・イノベーション」的な状況だろう。マスキングテープの事例は印象的。ユーザーはその製品に新しい価値を見出しているが、企業の側はそれに気づいていなかった。気が付くことができれば―供給者側が思考のリフレーミングができれば、そこに新たな市場の存在が確立されるのだ。
★新製品の市場を、どうやって「創る」のか
顧客に新しい価値を認識させるための一つの方法として吉田先生が提唱するのが、「類似点」と「異質点」の両方を提示するという方法。
私達はアナロジーで思考するので、類似点の存在がその製品を知るための認知的な手がかりとなる。これが全くないと顧客(社会)はその製品がなんであるかを理解することが難しい。
しかし、完全一致であれば新しい市場、新しい価値にはならない。その意味で、類似点という認知上の手がかりを与えると同時に、異質点をも明確に与えることで、この製品は新しい価値を提供しているのだ、と私たちは理解することができる。
★サラスバシー先生自身の御経歴。
インド系アメリカ人研究者、というと、「めっちゃくちゃな天才が、ど真ん中なアメリカPh.D教育を受けて、太刀打ちできないようなスーパー研究者になる」という感じを受けると思います(学者界隈のイメージだけかな…笑)。CAGEフレームワークのゲマワットさんみたいな。
そうではなくて、サラスバシー先生自身が理論提唱者として成功するまでのフロー自体が、実にエフェクチュエーション的な、計画された偶発性に導かれてのものだということ。
自身、企業家として苦節十数年。その経験をもって北米の大学院へ。しかしPh.D.には自身の保持学位では進むことができず、まずMBAへ。そこで推薦をもらって、カーネギーメロンへ。(ノーベル賞に輝く)ハーバート・サイモンの名前も知らなかったが、その講義を受講したことから、弟子となり共同研究に進んでいく。
道をどう進んでいくか、そのヒントとエールに溢れたエピソードでした。
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とまあ、長々、熱く語ってしまいましたが、とにかくも大変に充実した90分でした。是非、皆さんご覧ください!
そして何より、APSにて全8本の講義&4度のライブ講義の密度で、吉田先生より「エフェクチュエーション」を学んでもらえたら嬉しく思います!
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