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管理会計とは何か?経営学者が解説!


書いた人

中川功一(APS学長・経営学者)

元大阪大学大学院経済学研究科准教授。「アカデミーの力を社会に」を掲げ、誰もが学べるオンライン経営スクールAPSを創立。YouTube「中川先生のやさしいビジネス研究」も公表配信中!



管理会計とは

会計学は、大きく2つに分けられます。

1つは、財務会計です。企業の中でのお金の流れや構造を把握し、それがどういう影響をもたらすのかを正しく解釈・理解できるようにするためのものです。正しく報告することが大前提となるものであり、またその報告を正しく理解するための知識でもあります。


これに対てし、管理会計は、企業の金銭的状況を改善するためのものです。現場、ミドル、トップなど様々なレベルで直面するお金のストック・フローの課題を解決し、お金の巡りをよりよい状態にするものです。


経営の財務状況を改善するための会計が、管理会計である。このように理解してしまってよいでしょう。自社の経営判断に役立てられるのは、もっぱら後者の管理会計のほうなのです。


管理会計を行うメリット

●会社の金銭的状態が明確になる。ひいては、意思決定が正確になる

企業の金銭的状況は、何らかの仕組みを導入していなければ、次第にブラックボックスになってしまいます。企業の現状の財務状況を出してくれ、と言われて経理担当者が1日かかってしまうこともあるでしょう。


管理会計の仕組みを導入していれば、経営の金銭的状況が把握できるようになります。


毎月の経営会議などで、状況に応じた是正策などを実行したいと思えば、その毎月の会議に財務状況が開示されるような仕組みを、なるべく負担が軽くなるように導入できたならば、会社の経営の精度はより高まるでしょう。


●各部門の状況が把握できる。結果として、業績の評価や改善を行いやすくなる

管理会計の仕組みを部門に適用することで、各部門がどれくらい利益を出しているかとか、逆に苦戦している部門はどこか、と言った社内状況が可視化されます。そのため、部門ごとに細やかな対策が行いやすくなります。


財務会計が、法律で定められ、所定の書式を必ず期日に報告しなければいけない一方で、管理会計は法律上行わなければならないというルールがありません。そのため、会社によっては全く実施していないところもあるでしょうし、やり方も個別ばらばらです。


管理会計を実践することで、会社の経営はきちんと金銭状況に紐づいたものになりますから、ぜひ、実施するように致しましょう。


管理会計はどんな時に役立つのか

管理会計はとにかく色々な状況で役立ちます。いくつか例を挙げてみましょう。


起業するとき これから始める事業の収益構造を把握するのに役立ちます。


事業計画の決定 各事業プランの収支見込みを立てて、費用・期待利益の観点からプランを決定するのに使います。


収益構造の改善 既存事業で、どの費用が大きいのか、どういう製品が収益が高いのかを調べ、収益構造を改善するときに使います。


営業・マーケ戦略立案 どれだけの顧客獲得努力をすれば黒字化できるか、試算して、そこから逆算してマーケ策を立てるときに使います。

資金繰りの計画 出資・融資は必要か、どのくらい必要かを計算するときに使います。


会社内で、金銭的な意思決定をする全ての場面で登場するのが、管理会計です。…管理会計の知識をきちんと整えておく意義が、今一歩理解されたのではないでしょうか。


基礎となるのは財務会計、 もっぱら経営で使われるのは管理会計

しかし、この管理会計という概念がいまいち社会で普及していない理由は、この科目がすこし学びにくく認知されにくい構造のもとにあるためです。


たとえば、皆さんが、なんらかの期待をもって会計学のテキストを開いたとき、がっかりした気分になるのは、「財務会計」と「管理会計」を誤解したためではないでしょうか。


会計学を学んだらビシバシ企業の財務状況を改善できるんだ!!と思って、よし、会計を勉強しよう!と基礎レベルの教科書を開くと、多くの場合、それは財務会計のテキストだからです。自分がイメージしていた科目と違う、自分が期待していた知識が得られない…と残念な気持ちを持ってしまったとしたら、それこそが財務会計と管理会計という2科目が抱える大きな悩みなのです。


理屈の上でも、また実際に知識内容としても、財務会計が下敷きにあって、管理会計という順番になっています。学部でもそういう順序で学びますし、会計士などの資格でもまず財務会計の知識を学んでからとなります。


しかし、企業の経営現場で力を発揮するのは管理会計。


実務家も、士業の人も、財務会計を学んだうえで管理会計を使えないといけない、という状況に直面するのです。


もちろん、両方があってこその会計学ですが、学者が教える裏ワザは、「管理会計から入っていってしまう」です。たしかに財務会計の知識がないとよくわからない所もありますし、基礎なしに応用をしている感じもします。ですが、ワザとして使える管理会計を使っていく中から、財務会計を身につけていくのでも、実務家としては何も問題ありません。問題となるのは学者か士業を目指すときだけです。その意味で、私は実務の方には、すぐに生きる管理会計から始めてしまって問題ありませんよ、という伝え方をしています。


APSで管理会計を!

APSでは毎年12月-1月講座で「管理会計」を実施しています!「文系女子のための日商簿記3級」などのベストセラー著者であり、まさに文系女子を想定して、誰にでもわかる管理会計を教育されている江頭幸代先生(関東学院大学)が教鞭を執られます。2か月間でわずか19800円で(他の科目も学びながら!)ひととおりの管理会計が学べてしまうのはAPSだけです。ぜひ、これまで敬遠されていた皆さんも、江頭先生のもとで管理会計を学んで頂けたらと願っています!



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