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執筆者の写真功一 中川

イノベーションとは何か?

イノベーションとは何か?

近年、とても語られることの多い言葉、イノベーション。でも、その正しい意味を理解している方は、少ないのではないでしょうか。今回はこのイノベーションとは何なのかを解説したいと思います。


近年は、企業も政府も、口を開けばイノベーションが大切だと唱えます。皆さんも、何となく大切なことだとは思っているでしょう。そして、イノベーションというものが、何か新しい事業を立ち上げることとか、新しい発明をすることなんだろうなとは思っているはずです。そこから、グーグルとかアップルみたいな会社を育てることでしょ?といったイメージでしょうか。


実はこのイノベーションという概念、経営学・経済学の世界では、明確に意味が定義されています。


イノベーションは、社会に新しい価値を生み出し、それが持続的に提供されるようにすること、と定義されます。


典型的には、アップルのiPhoneはイノベーションです。これまでにない通信体験を生み出し、それが継続的に社会に供給されている。社会に、新しい価値が届けられ続けている。


トヨタのプリウスも、イノベーションの典型例です。地球環境によい自動車という新しい価値を生み出し、それを日々、人々に届けています。


(動画はこちら。講義を聞きながらテキストを読んでいただけると、分かりやすいです)


大きな技術革新を伴わなくてもよい。小さな変化でも、それはイノベーション。

でも、iPhoneやプリウスのような、時代を変えるような変革でなくてもよいのです。

技術革新すらも、必ずしも必要ありません。


たとえば、飲料のレッドブル。これも一種のイノベーションです。内容成分とて、既存の炭酸飲料とそう違いがあるわけではありません。違いがあるとすれば、「翼を授ける」というメッセージくらいのものです。でも、このメッセージが大切なのです。


私達はレッドブルを飲むとき、確かに肉体の乾きや栄養補給だけでなく、心をも潤しているのです。「翼を授ける」のメッセージを受け取った、私達のその喜びの増加分こそが、社会に新しく生まれた価値なのです。


利益を生むことが大切

ただし、イノベーションの定義において、必ず守られなければならないことがあります。それは、事業として営み、利益を上げることです。これはイノベーション研究者の誰もが肯定することです。なぜ、利益が大切なのでしょうか。


それを考えるにあたっては、この地球上の価値の総量を分析してみることが有益です。


イノベーションとは、新しい価値を生み出す活動です。価値とはつまり誰かの幸せです。そうして、先人たちが成してきたイノベーションの積み上げによって、現代社会は形作られています。


しかし、この地球上で行われる、いかなる活動も、必ず価値の消費ということを伴うことも、私たちは忘れてはいけません。人が働ければ、その人の人生を消費したことになります。それは、この地球上の価値の消費です。水や空気、地下資源を使えば、やはりこの社会から価値が失われていくことになります。


そうして、消費された価値の総量を、金銭計算したものが、事業活動にかかる費用なのです。


社会で消費された価値:費用を、社会に生み出された価値:売上が上回らないことには、この社会の価値の総量は目減りしてしまいます。もちろん企業も赤字になりますから、その事業活動を続けていくことができません。


逆に、利益を上げられるなら、事業活動を継続できます。そして、まさしくその利益の総額こそ、この社会に生まれた、価値の純増:net value addedなのです。


イノベーションが、この社会を発展させてきた。

さて、ここで皆さんの身の回りをぐるりと見渡してみてください。スマホ、PC、洋服、眼鏡、照明、机、カーテン…それらの全ては、過去、誰かがイノベーションを起こしてこの社会にもたらしてくれたものです。そんなイノベーションが積み重なって、社会は発展し、経済は成長を遂げてきたのです。


そしてまた、イノベーションは、あなた自身の経済的な成功をも、もたらしてくれます。

そして近年では、イノベーションの方法は、ある程度まで、科学的に解明されるようにもなっています。


新しい価値を生み出すための方法、イノベーション。

ぜひ、皆さんにその方法を学んでいただきたいと願っています!


第一人者からイノベーションの学びを。

APSでは、イノベーション関連科目として「イノベーション・マネジメント」と「エフェクチュエーション」という2科目を用意しています。


「イノベーション・マネジメント」は、まさにイノベーションとは何かを探求し、その実現方法を研究してきた学問です。APSでは毎年6ー7月開講となっており、日本における第一人者のひとり、上智大学の小阪玄次郎先生が、「両利きの経営」や「オープン・イノベーション」などの重要概念とともに講義してくれます!


「エフェクチュエーション」は、企業家の行動様式を理論化したものです。APSでは、日本におけるトップランナー、神戸大学の吉田満梨先生が教鞭を執ります。毎年4-5月開講です。


ぜひ、APSで、日本のトップ研究者から、イノベーションを学んでください!


(APS学長・中川功一)




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